NPOプラントツアーズ/質問コーナーQ&A

Q:NPOプラントツアーズでは「工場」をどう位置づけているのですか?(神奈川県男性)

image8.jpgA:私たちは工場とは「モノ・コトを生み出している場所」と考えております。そして、この「モノ・コト」につきましては、広く緩やかに解釈をしています。例えば、博物館や美術館などの場所は、人間の感性というモノを育み、生み出す場所であるとして、私たちはその施設なども一部ご紹介をしております。しかしながら、このように「モノ・コト」の解釈を広くしますと、映画館や劇場は喜怒哀楽の感情を生み出す場所として、学校や習い事教室は知識・技能を与えてモノゴトに精通した人間を育む場所として、あるいは神社仏閣は人が手を合わせて願いを生み出している場所としてなどと、どこまでも広くカテゴリーを作ることが出来てしまいますので、NPOプラントツアーズでは、基本として私たち人間が暮らしていく中で必要となる生活消費財を生産している場所を「工場」として活動しています。

Q:NPOプラントツアーズはどのような活動をしているのですか?(東京都女性)

IMG_42501.jpgA:私たちは、一般市民の方が見学を希望するモノ・コト作りの現場を誰もが見学することが出来るようになることを願い、そのために必要な活動をしています。具体的には、まず市民の皆さんや学校側が、どのような工場に関心を持っているのか、見学してみたい工場はどこかについてアンケートをしています。そしてその声を工場側へお届けしていますが、見学者を受け入れていない工場に対しましては、私たちが行える支援活動を提案し、見学者の受け入れを可能にしていただけるために、私たちも工場の皆さんと一緒になって出来る限りのお手伝いをしています。

Q:「チャーリーとチョコレート工場」という映画を見ました。私も住んでいる家の近くの工場を見学したいと長年思っているのですが、その工場では見学者は受け付けていません。何とかなりませんか?(愛媛県松山市女性)

A:そのような声をたくさんいただきます。特に小学校の先生方からは「社会科見学の授業で○○工場に行きたかったのに断られてしまいました」と非常に残念がられている声がたくさん出ています。私たちNPOプラントツアーズのスタッフもまた、長年見学者を受け入れていなかった工場で働いていたことがありますので、工場サイドの理由も一方ではよく分かります。しかしながら、その工場サイドの理由というものが、案外「昔から工場は製品を作るだけの場所」「見学者など今まで来たことがなかった。そんな前例は無い」などと、過去の高度成長期時代の考え方や、慣習を守るという日本人特有の保守主義的なものであることが大半なのです。今日の企業はCSR(企業が果たすべき社会的な責任について)の使命によって、地域の住民の皆さんに対しても、従来の接し方を見直して、工場見学を実施することでお互いに理解し合う(コミュニケーション)ことをスタートしている企業が全国でものすごい勢いで増えました。そのような情勢の中で、私たちNPOプラントツアーズの活動は、企業が従来の慣習や考え方を見直すためのきっかけ作り役であると考えています。あなた様が希望されるその工場も、近い将来必ず見学者を受け入れる日が来ると思いますので、その日を楽しみに地域の皆さんと手を取り合い、工場側へリクエストを行い続けてみてはいかがでしょうか。私たちも機会を作り、四国へお伺いさせていただきますので、宜しくお願い致します。

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Q:工場を経営していますが、最近工場見学を希望する人が増えて応じようかと思うのですが、どうやって見学者を受け入れればいいのかよくわからないのですが。(栃木県足利市工場経営者)

A:工場見学には大事なことが3つあります。1つ目は、見学者は子どもからお年寄りに至るまで全員がお客様だと思って接するということです。つまり、おもてなしの精神を持つことが大事であるということです。見学者と構内ですれ違ったら「こんにちわ!いらっしゃいませ!」と挨拶が出来ることは当然のことです。これらを朝礼などで全従業員に呼びかけて徹底させてみてはいかがでしょうか。2つ目は、見学者が来る前日に小手先の掃除をするようでは絶対にボロが出てしまうということです。見学者は工場で働いている人が目に慣れているような箇所に逆に目が行くものです。工場であれば言うまでもありませんが、日頃から5S(整理・整頓・清掃・清潔・躾)を行い、習慣づけるということです。3つ目は、地域に根差す中堅企業でしたら工場長は見学者へ必ず挨拶をしてください。見学者は「工場内で製品が作られる工程」「工場長(社長)はどのような人か」「5Sが行き届いているか・トイレなどの施設はきれいか」「一般従業員の態度からその工場の従業員教育のレベルを知る」「試食・試飲、おみやげ(ノベルティーほか)などの特典はあるか」の5点を頭の中で採点していることが私たちが行ったアンケートから読み取れます。組織の長である工場長(社長)が見学者の方へ「ようこそお越しくださりました!」と挨拶することが、その工場はよい工場である証ともいえます。

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Q:見学者専用の通路がないので、作るとなると巨額の資金がかかってしまう。企業の責務として見学者は受け入れるべきだと考えますが、どうすればいいのでしょうか。(静岡県食品会社工場長)

DSC098981.jpgA:例えば、動物園の見学は柵の外から中を見るルートが通常の見学コースとなります。更に、サファリパークのように動物達が日常生活しているエリアへ見学者が入り、動物達の生活の邪魔にならないようにその行動を見学する、サファリツアーがあります。働いている従業員は、勿論、動物ではありませんが、要はこのような視点で物事を見ることで、見学者の受け入れは暗礁に乗り上げずに済むということです。私たちスタッフが以前携わった工場でも、これと同じ手法で見学体制を確立し、見学者の声は「実際に人が手で封入する作業をすぐ目の前で見ることが出来てすごくよかった」「臨場感が全然違う、すごい!」「隔離されたコースではなく、“工場内を全て見てくれ”という自信の表れを感じ、信用できる工場だと思った」などと、好評なものばかりでした。工程の危険を分析して予知活動を万全にして、見学者の年齢制限や健康制限のルールを決めて必ずガイド役・引率役として最低2名を随行させて見学者の行動に注意を払い、さらには作業者に理解をしてもらった上でスタートしてみれば、見学者にとってこんなに嬉しいツアーはありませんので、ご検討してみてください。巨額の資金を投じて見学コースなどを設ける必要は全くありません。また、過去の経験から、工場長(社長)だけが張り切られている工場の見学体制は必ず失敗してしまいます。大切なことは工場で働く皆さんの創意工夫ですので、従業員の知恵を結集させることで参加者意識を高めてください。

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